盲ろう者とは目と耳両方に障害のある人のことをいいます。
富山盲ろう者友の会では、盲ろう者とその支援者の交流・支援活動を行っています。

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読みと主な処理技術

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【読みと主な処理技術】

ここからは、実際の読みについて、「処理」技術を中心に紹介します。
「調査」を終え、実際に声に出して読むにあたり、どういう読み方をするかが問題になります。
音訳の作業の基幹部ですので、少し細かく見ていきましょう。
「処理」の技術を知る中で、「2.音訳と朗読」で触れた“音訳と朗読の違い”が、少し具体的に見えてくるのではないかと思います。

基本的な読み方

自然な抑揚。適切な間(ま)。正しいアクセント。演出しない読み。
基本はそんなところです。
“音訳は棒読み”という誤解がまれにありますが、そうではありません。
聞きやすく、理解しやすい音声にするためには、適度な抑揚は必要です。
文頭は高めから入り、文末まで自然に下げる。文末の音が潰れないためにも文頭の高さは大事です。
間は、情報伝達の上で大きな作用をもたらします。間の取り方で、言葉の修飾関係が変わる場合もあり、安易な間の取り方をしないよう注意しなければなりません。間の在り様自体が一つの情報を示すことになるのです。なお、「原文に忠実」が原則の音訳ですが、読点に関しては原文にこだわらず、聞きやすさを優先した間を選択します。
そして正しいアクセント。
アクセントの違いで単語の意味が替わってしまう場合はもちろんですが、その他も全て標準語のアクセントが基準となります。(地方の音訳者にとって、アクセントは大きな悩みの種で、アクセント辞典と首っ引きになります。)
最後に、これは判断が難しい部分ですが、演出をしないということ。
音訳の目的は「目のかわり」ですから、読み手の解釈が反映された読み方は避けなければなりません。
上記の抑揚も、目的は聞きやすさであり、感情表現ではありません。読みの緩急も、基本的にはつけません。
小説などでは、台詞やストーリーに影響た読み方をしがちですが、NGです。
朗読と大きく違う点です。

「処理」が必要な場面

基本的な読み方に従って、原文に忠実に聞き取りやすく読むだけでは、原文の要素を表しきれない場合には「処理」が必要となります。
前回少し触れましたが、「処理」は情報補完の作業です。
視覚依拠の度合が高い部分ほど、「処理」が欠かせません。
「処理」が必要となる典型的なケースには次のようなものがあります。
①符号
②同音異義語
③括弧に入った言葉
④ルビ
⑤外国語
⑥図、表、写真

音になおすのが難しい内容でも、よりわかりやすく、より正確に「目のかわり」を果たす読みをするために培われた技術が「処理」です。
「処理」と一言に言っても、その対応方法はケース・バイ・ケース。
基本的な技術と用法を知った上で、それを多様に組み合わせ、より良い読みを考えていくことになります。
「処理」技術の分類
主な処理技術は、次の3つに大別できます。
(1)読みの工夫 …… 読み方に変化をつける
(2)説明の挿入 …… 情報を補う言葉を加える
(3)構成の工夫 …… 録音の構成(順序)を工夫する
この中で、(3)は少し種類が違います。本来は録音する順番も「原本に忠実」で、表紙から奥付、裏表紙まで、原本に記載されている順番通りに録音しますが、注釈や図表の記載が多い場合などに、それだけを別にまとめて録音することがあります。このような処理が“構成の工夫”です。限られたケースですので、これ以上ここでは触れません。
実際音訳をする上で重要となるのは(1)と(2)です。


Last Update 2010-06-03 (木) 12:39:31

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