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要約筆記実践12 列挙情報の処理における注意点

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要約筆記実践12 列挙情報の処理における注意点

前回挙げました、列挙情報の処理における注意点について、補足します。

1.抜かした情報が後で出てきた時はフォロー必須
このフォローがあってこそ、集約法にも抽出法にも正当性が出てきます。
フォローするためには、通訳過程で何を拾って何を落としたかを把握できていなければなりません。
チーム筆記の場合、自分が書いている範囲だけでなく、他の人が書いた部分のフォローもしなくてはいけないのが難しいところです。
前で抜かした要素が次に出てきたとき、普通に要約筆記しては駄目。
こうした場合には、発言外の言葉を入れてでも、前の情報との整合性を取る必要があります。
その配慮を怠れば、その場その場は適正に要約筆記しているように見えても、全体を通して見たときに矛盾した情報を提供することにもなります。
これには注意が必要です。
特に、話者が発言した通りの言葉を書いている時、通訳者はその処理に疑問を持たない傾向がありますので要注意です。
フォローの仕方については、いずれまた。

2.データ的情報にとらわれすぎない
数字、固有名詞、具体例といったものに限って、やたら頑張って全部書こうとする人がいます。
そんな必要は必ずしもありません。
少なくとも、全体の流れを損なってまで具体例を全部拾うべきケースは滅多にありませんので、優先判断を誤らないようにすべきです。
数値、固有名詞に関しても同様。
それらに限ってフルに拾おうとするのは、メモ書きの発想。
こう言うと、書かないより書いたほうが良いだろうと言われますが、それも必ずしもそうではないと言っておきます。

3.補助者も頑張りすぎない
補助者でも同様に、全部の具体例を必死で入れようとする人がいます。
これも、そんな必要は必ずしもありませんし、それに頑張りすぎて主筆の流れを妨げるような補助は、逆に邪魔にもなります。
結果的に無意味な加筆とならないように、補助は補助としての技術的判断が必要です。
よく見かける、頑張ってるのに逆効果な補助は以下。
・読めない
・間違っている
・書いた瞬間に消える
・主筆の邪魔になる位置に時間をかけて書く
詳しくはまたの機会に言いたいと思いますが、書きゃいいってもんじゃないですよと。

4.とはいえ補助者は上手く利用する
補助者を如何に上手く使うかで、かなり筆記の出来は変わってきます。
ただ座っているだけの補助者ならチーム体制の意味がないので、補助者は是非積極的に仕事をしてほしいもの。
補助者の活用は、要約筆記の質向上の大きな鍵となります。
抽出法は、補助者の出番を作りやすいケースです。
そこらへんを意識してチーム練習をしてほしいなと思います。
その前に、練習をしましょう、というところからお願いしなきゃいけない気がしますが…。
補助の具体的な利用法についても、また今度。

5.混合型の利用も有効
前に少し触れました、混合型。
集約法で話の流れは担保しつつ、抽出した具体例をも混ぜ込んでいく方法です。
主に以下の2通りの書き方があります。
・メロンなどの果物
・果物(メロンなど)
後者は、時間に応じて後から抽出の量を加減できるので便利な手法です。
補助の活用もしやすい方法。
ただし、これは要約筆記の正道からは外れるので、多用には注意が必要です。
これについても、また今度。


Last Update 2010-06-03 (木) 12:02:30

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