盲ろう者とは目と耳両方に障害のある人のことをいいます。
富山盲ろう者友の会では、盲ろう者とその支援者の交流・支援活動を行っています。

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全国盲ろう者大会に参加して

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全国盲ろう者大会に参加して

K.K

 8月19日から23日まで、札幌プリンスホテルで開催された「第20回全国盲ろう者大会」に参加するため、北海道へ行ってきました。大会は20日から22日までですが、富山・札幌便が1日1便のため、前後は移動日となりました。
 私は今回初めて参加しました。富山からは私と、Sさん、Mさんご夫妻の4名。全国から盲ろう者190名、通訳・介助者など446名、ボランティアも含めると800名以上が集まりました。
 19日昼過ぎに富山空港から札幌へ向かいました。北海道へ行くのは生まれて初めてです。夕食にジンギスカンを食べました。

 20日は開会式の後、大会の目玉ともいえるスペシャル企画。世界盲ろう者連盟会長でデンマーク在住のレックス氏が来日される予定でしたが、体調を崩され、残念ながら来られなくなりました。
 代わりに「2013年世界会議日本開催に向けて」と題した講演が行われました。講師は東京大学先端科学技術研究センター教授で全国盲ろう者協会理事、海外で盲ろう者関係のネットワーク作りにも取り組まれている福島智さん。各国の盲ろう者福祉の現状を、体験を交えて話されました。
 印象に残った話を紹介します。「ヘレン・ケラーは相手の唇を触り、その振動で言葉を読み取った」という嘘かほんとか分からないような話があります。それと似たコミュニケーション方法を使うレオナルドさんに福島さんが言いました。「英語で盲ろう者のことを《デフ・ブラインド》と言いますね。日本で《デフ(でぶ)》というのは太っている人という意味。僕は太っているから《デブブラインド》なんだ」。このだじゃれが通じたそうです。しかし、現在はそういう方法を使う人はいないようです。世界にはいろんな人がいるのだなあ、世界は広いのだなあと感じました。
 司会の門川さんも巻き込み、海外経験が豊富なお二人の楽しいお話を聞くことができました。世界の盲ろう者の現状についても大変勉強になるスペシャル企画だと思いました。
 18時からは歓迎パーティーが行われました。地元の子供たちによる和太鼓の演奏、○×クイズ、お楽しみ抽選会、よさこい踊り、それから美味しい食事や飲み物など、楽しいパーティーでした。

 21日、午前は「就労と老後」という分科会に参加。自己紹介をした後、職場でどのようにして働いているか、働く上で困っていることはないかなどを話し合いました。その後、65歳以上の方がご自分の生活や悩みについて話されました。
 昼食後、作品展示・機器展示コーナーを見学。

 作品展示コーナー…使用済み点字用紙で作られた封筒や爪楊枝入れ、竹細工などの販売
 機器展示コーナー…パソコン機器・触って確認でき振動で起こしてくれる目覚まし時計・ヘレンケラーホン・携帯型の拡大読書機など

 午後は、第1分科会「盲ろう者の生の声を聞く」に参加しました。この分科会は全国盲ろう者団体連絡協議会(盲ろう当事者が中心になって活動している団体)が行っています。盲ろう者の意見を集め、それをまとめて行政などに要望するのです。その中でこんな話がありました。
 ある講演会に参加した弱視難聴者の体験です。講演会には手話通訳や要約筆記が付いていたので、盲ろう者のことも理解してくれると思っていました。他の人の迷惑にならないよう、かなり遠慮して後ろの席で音声通訳を受けていました。ところが、10分ほど経つと急に通訳の声が止まりました。どうしたのかと思ったら、市の職員から「私語は やめなさい」という紙が回ってきました。
 一般の方ならともかく、行政関係者から理解されなかったのは残念だ、とおっしゃっていました。
 確かに私たち盲ろう者のことはあまり知られておらず、理解されないことが多いと感じました。

【その他の意見】
 盲ろう者は多くの場合、通訳・介助なしでは一人で働くことは困難である。しかし雇用する側も一人でいいところを二人雇うのは難しい。通訳・介助の分を行政が負担すれば、盲ろう者がもっと働きやすくなるのではないか
 盲ろう者向けの白杖があった方がいいか、それともガイドヘルパー制度をもっと充実させるべきか(これは意見が分かれました)
 盲ろう者が利用できるATMを設置してほしい(点字表示対応のATMを希望)
 盲ろう者が利用できる地デジ対応テレビの開発

 ここで出された意見については、連絡協議会で検討した上で、関係機関に要望するとのことです。
 22日は、北海道観光に出かけました。盲ろう者大会は分科会だけでなく、観光やスポーツ・レクリエーションなどの企画も用意されています。私が選んだのは小樽観光です。

♪おー、おー、おーたる来い
 あっち(本州)の天気は暑いぞ
 こっち(小樽)の天気は涼しいぞ
 おー、おー、おーたる来い
♪おー、おー、おーたる来い
 あっち(本州)の天気は地獄だぞ
 こっち(小樽)の天気は天国だ
 おー、おー、おーたる来い

 ホテルからバスで札幌駅へ向かい、JRに乗り換えて小樽駅へ到着。人力車で運河沿いを散策しました。北海道は涼しく快適でした。遊覧船では、カモメにえさをやることができました。えさを差し出すと飛んできて食いついて持って行きます。最初おもしろかったのですが、くちばしが指に当たったり、飛んできたカモメの羽が顔に触れたりして、少し怖くなりました。くちばしが当たったところ、次の日皮が剥けていました。
 閉会式では、各分科会や観光、レクリエーションの報告などが行われました。最後に引き継ぎ式があり、来年の大会は静岡県浜松市の浜名湖ロイヤルホテルで開催することが発表されました。東海・北陸ブロックが担当なので、地区の代表(富山からは私)が舞台に上がりました。札幌から激励の気持ちを込めて、クマのぬいぐるみが贈られ、3日間にわたる大会の幕が閉じられたのでした。
 富山には23日のお昼過ぎに着きました。北海道の涼しい気候に慣れていたせいか、富山はとても暑く感じました。
 大会での楽しい話、他県の盲ろう者との交流、北海道の美味しいものも食べられ、貴重な体験もできて、一時的に暑い富山から逃げられて!!非常に有意義な時間を過ごせました。
 このような企画をしてくださった実行委員の方々をはじめ、大会に関わってくださった皆様に感謝申し上げます。
 さて、来年は我々も実行委員として大会に関わることになります。東海・北陸ブロックの皆さんと協力して、全国の皆さんに楽しんでいただけるような企画を考えていきたいと思います。
 皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。


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