盲ろう者とは目と耳両方に障害のある人のことをいいます。
富山盲ろう者友の会では、盲ろう者とその支援者の交流・支援活動を行っています。

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通訳技術の分類

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【通訳技術の分類】

現在盲ろう通訳に使われている主な手法について、受信の様式、通訳原理による分類を試みます。
通訳では、ボディタッチによるサイン等を含め、多数の手法を複合的に用いる場合もありますが、ここでは通訳技術の主作業に注目して話を進めます。

●受信の様式による分類

受信様式とは、利用者が情報を受け取る形を指します。
まず、使用する感覚器として、触覚、聴覚、視覚に分類できます。
次いで、それぞれを情報の表出体系によって整理します。
聴覚使用では音声表出のみですが、視覚利用では文字と手話、触覚利用では点字、点字系、文字、手話、その他という表出体系に区分できます。
下にまとめます。

感覚器表出体系通訳技術
聴覚音声音声通訳
視覚文字筆記通訳(手書・PC)
視覚手話接近手話通訳
触覚点字ブリスタ、BMチャット
触覚点字系指点字
触覚文字手の平書き
触覚手話触手話、指文字
触覚その他ローマ字指文字

利用者がどの通訳スタイルを選択するかは、利用者個人のバックグラウンドによっても変わってきます。
元々点字を使っていた盲ベース盲ろうの場合には、残存聴力の状態に関わらず、点字系の通訳法への適応が比較的容易です。
一方、ろうベース盲ろうの場合には、利用できる通訳スタイルが限定的になってしまう傾向があります。
聴覚・視覚が残存している場合、それを活かした通訳スタイルは利用者に馴染みやすいという利点がありますが、聴力・視力を駆使することによる利用者の負担には配慮が必要です。
また、初期に取っ付きやすい通訳スタイルが、利用者のアドバンテージにマッチしているとは限りません。
盲ろう者の通訳利用に関しては、本人および周囲への支援体制も含めて長期的に包括的に考えることが大切でしょう。
いずれにせよ通訳者側には、通訳スタイルの選択肢を広く提供できること、それぞれの選択肢が量・質ともに充分な水準を満たしていることが求められます。

●通訳原理による分類

通訳原理とは、通訳における技術的な論理基盤が何かということを指します。
先述の通り、通訳の主作業は、主として人の音声を対象としたリアルタイムの情報保障であるため、その多くは、聴覚情報の保障技術であるところの要約筆記、手話通訳の応用として捉えることができます。
使用言語が手話であるものは手話通訳を基盤とする。
使用言語が日本語であるものは、音声通訳を除き、殆どが要約筆記の論理を基盤とする。
表出の形が従来の要約筆記とは色々違いますので、実際の作業段階の技術においては要約筆記との乖離はありますが、通訳の原理に関して言えば、多くの盲ろう通訳技術は要約筆記の論理に矛盾しません。
その観点に立つと、例えばブリスタ通訳であれば、「通訳原理は要約筆記で、表出の様式が点字」と分類できます。
注意すべきは、使用言語と表出様式の区別です。
指文字通訳は、表出様式の系統は手話ですが、言語の体系は日本語、通訳原理は要約筆記です。
現在の主な盲ろう通訳技術は、その多くが要約筆記原理の応用と言えましょう。
以下に各技術の通訳原理について整理します。

通訳原理通訳技術
手話通訳触手話、接近手話通訳
音声通訳
要約筆記上記以外※

(※筆記通訳、ブリスタ、BMチャット、指点字、手の平書き、指文字、ローマ字指文字など)

通訳原理を整理することで、その通訳手法の特徴等が見えやすくなります。
また、盲ろうの通訳手法は多様ですが、その技術を解析することで、効果的な人材養成にもつながると考えられます。
なお、指文字、指点字、手の平書きなど、通訳者が利用者の身体に直接触れるタイプの通訳では、手技の力加減等によって韻律情報を含む被言語情報の伝達がなされることもあります。
これらの技術が、要約筆記の範疇にあるかどうかは再考の余地があります。
また、言語情報伝達の手段としてのサインや略語の使用に関しても、解釈の分かれるところです。
各技術の詳細については、5.通訳技術 概説で。


Last Update 2010-06-04 (金) 13:05:11

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